4月29日に、富士川町最勝寺在住の臼職人 志村雅巳さんから、平林区に臼が寄贈されました。
昔は、餅つきの臼と言えば平林!というくらい平林は臼の産地として名を馳せていました。毎年賑わう南アルプスの十日市(毎年2月10~11日に開催)でも、よく売れたと言います。
今は2名の臼職人の方が伝統を受け継いでくださっています。そのひとりである志村さんは、平林で60年臼を作り続けた故深沢俊人さんのもとに弟子入りしてから、今年で20年の節目を迎えます。
以下、志村さんからのメッセージをご紹介します。
『平林で60年臼を作り続けた深沢俊人さんのもとに弟子入りをし臼を彫り始めて今年で20年になります。
そして、この節目となる年に、これまでで一番大きなケヤキの原木を手がけることになりました。
このケヤキで製作する臼は、ぜひ平林区に寄贈させていただきたいと思い、恩師と平林への感謝の気持ちを込めて彫りました。
職人歴20年の深沢さんが作る臼は、中がゆったいと広いみかん彫りでした。わたしはまだまだ未熟ですが、しっかりと目に焼き付いている師匠の臼に近づくことができるよう、また「平林の臼作り」を絶やさぬようこれからも精進していきます。
皆で集まってお餅つきをする機会が減っていますが、臼、杵を使ったお餅つきの楽しさやつきたてのお餅のおいしさは、後世に残したい伝統文化の一つだと思っています。
多くの皆様に、この臼を活用していただけることを願い寄贈させていただきます。』
志村さんは、20年前の25歳の時に臼職人 深沢俊人(ふかさわとしひと)さんに弟子入りしました。数年前、師匠はお亡くなりになり、今は師匠の工房でひとり臼づくりをされています。工房から見える富士山は美しく、臼作りは冬が最盛期ですので、富士山を見ると寒い中二人で作業した思い出が蘇ります。
工房へは、週末に通って製作をしています。すべて手作りの工程のため、ひとつの臼を作るのに10日間ほどかかります。「臼はすべて手作りです。効率は悪いですが、師匠から教わった通りに作っています。その技術を後世につないでいきたいという思いで作っています。」
平林区区長の深沢毅彦さんは、「2年間、地区の行事がほとんど中止になってお餅つきも2年間行われていない状態。せっかく立派な臼を寄贈していただいたので、なるべく行事のほかに催しを打てたらと思います。わたしの父親の世代は、みんな臼作りをしていました。昔は、臼を町の家具屋さんに売って生計を立てていた時代もありました。今は、職人さんが減ってしまっていますが、伝統を継いでもらっているのはありがたいことです。」と話してくださいました。
古き良き日本の文化であるお餅つき。平林の職人さんの数は減ってしまいましたが、こうして伝統文化をつないでくれる職人さんのおかげで、日本の豊かな暮らしを見つめ直すことができます。平林では、今でも古いお家には一家にひとつ臼があります!
ゆくゆくは、弟子をとって跡継ぎを育てたいという志村さん。昔と今をつなぐ架け橋をしてくれている志村さんの手作りの臼のオーダーや修理など、ご希望がありましたらおつなぎいたします。
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