●平林ってどんなところ?
平林(山梨県南巨摩郡富士川町)は南アルプス山系櫛形山の中腹(標高が700〜800m)に位置する中山間地域のうちのひとつで、富士山の見える棚田の里として知られています。
人口約250人、そのうちの4割がお年寄りという高齢化の進んだ過疎地です。
1美しい景観と貴重な自然が残る里
棚田は緑のダムと言われています。その役割は災害を防ぐだけでなく周辺の気温を下げたり、植物に水を供給したり、石垣や畔などを住処にする生物も生かされています。令和3年には、山梨県内で初めて国の「棚田指定地域」に、令和4年には「棚田遺産」に認定されました。
また、あまり知られていませんが、平林地区には“種の保存法”(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)で「国内希少野生動植物種」として定められたイヌワシ、クマタカ、ハヤブサが飛んでくることがあります。環境省が選定する「生物多様性保全上重要な里地里山」として、山梨県では6箇所のうちのひとつになっています
2.「農」とともにある暮らし
南アルプス山系の水と朝夕の寒暖差が生み出す棚田米、味が濃くてハリのある桃太郎トマト、みずみずしい大根などが名産です。お餅を搗く臼や杵の産地としても有名で、現在は二人の若い職人さんがその技術を受け継いでいます。
山の斜面を切り開いた段々畑には実に多くの野菜が栽培され、昔から続くこんにゃく芋や山梨では珍しい“えごま”を栽培している農家もあります。
おばあちゃんたちが作る手作りの漬物や保存食はとても美味しく、生活のいたるところに食の知恵が継承されています。
3.集落全体がひとつのコミュニティ
平林は、その地形と規模から集落全体がとてもまとまっています。みんなで力を合わせ、区長さんを先頭に受け継がれてきた暮らしを今もなお継承しています。
「組」と呼ばれる12の最小単位の集落組織があり、高齢過疎化が進んだ今では移住者も「組長」として地域のお祭りや河川清掃、草刈り、季節ごとの行事への参加など、平林の一員として暮らしを維持・管理する役割を担っています。
隣近所は相互扶助の意識が高く、それぞれが気にかけ合って助けてくれる。まるで大きな家族のような安心感があります。
災害があれば孤立してしまう可能性が高い地域のため、自然だけでなく人との繋がりをまるごと楽しめる方に向いている地域です。